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Channel: BPM ビジネスプロセス革新実践ガイド
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BPM実践事例3:三技協~「業務構造」「プロセス」「マニュアル」の可視化/共有化で企業変革~

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BPM実践事例3:三技協~「業務構造」「プロセス」「マニュアル」の可視化/共有化で企業変革~

三技協は、資本金2億9660万円、従業員数1000人超の、情報通信のエンジニアリングサービス会社です。1965年の会社発足以来、売り上げの90%以上を大手通信メーカー及び同社グループ会社の下請け業務が占め、国内外の通信インフラに関わる機器の現地据付工事や調整、保守事業を行ってきました。

1990年に入り、前職(ソニー)を退職して創業者の父親から三技協を引き継いだ仙石 通泰氏は、あまりの企業体質の違いに愕然とします。「このままでは会社が駄目になる。何とかしなければ」との思いから、様々な改革に着手しました。その1つが、2000年からスタートさせた業務の「可視化」「共有化」です。

社員は、下請け/孫請けからの脱却を目指したいという意識は以前から持っていました。ですが、自社が置かれた市場を分析したり、将来構想や事業戦略を描いたり、自らが事業を開拓していくといった、視点や実行プロセスが欠如していました。

プロジェクトの内容と効果・成果

そこでまず、業務の可視化からスタートしました。可視化までの手順を社内に浸透させるため、専属の推進部門メンバーが手本となるいくつかの業務をピックアップ。エンジニアへのヒアリングを通じて業務を作業単位に分解し、作業単位を業務の流れに従って整理しました(業務の構造化)。

構造化したデータは、「サイバーマニュアル」と呼ぶ自社開発したグループウェアに登録し、誰もが閲覧できるようにしました(可視化・共有化)。こうして業務の構造化と可視化の手順をテンプレート化し、これを手本として全社に広めていきました。

従業員自らが業務の構造化やプロセスを整理して可視化することで、プロセスの「抜け・漏れ」や「ムダ・ムラ」といった改善点に気づくようになり、業務の最適化や標準化が浸透していきました。

このプロジェクトを進めることで、従来は属人化されていたベテラン技術者の「ノウハウ」や「スキル」の大半がサイバーマニュアルに登録されました。ノウハウやスキルを可視化・共有化し、いつでも誰でも入手可能にすることで、若手の早期育成が可能になりました。さらに市場情報や顧客との折衝履歴などもサイバーマニュアルに登録することで、新規事業や営業機会の創出が実現しました。

業務改革への一連の取り組みは継続的に拡大しており、サイバーマニュアルは現在、会社のすべての定性情報のプラットフォームとなっています。

本コラムは、ビジネスプロセス革新協議会(BPIA)で活動するビジネスプロセスマネジメント(BPM)研究会のメンバーが協力して執筆しました。BPIAは、次代の企業にふさわしい組織・業務革新の「あるべきモデル」「導入活用定着手法」を究明し、企業競争優位性の確立とビジネスの生産性向上を目指して1999年に設立されました。また、BPM研究会はITベンダー、ITコンサルタント会社、ユーザー企業で実際に業務革新に取り組んできた専門家が、最も効果的/実践的な業務革新の手法を探求しているグループです。


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